概要

センター長挨拶

 佐渡島は,森里海が近い距離にあり,研究や教育のフィールドとして貴重な自然資源・社会資源を有しています。また,サドガエルやサドナデシコナマコ,カワスナゴカイなどの新種が記載されるとともに絶滅危惧種が多く分布するなど生物多様性の高いことでも知られています。佐渡自然共生科学センターは,その利点を活かして,森林・里山・海洋の3領域とコミュニティデザイン室,里山共生研究部門が連携しながら,森里海生態系における生物多様性と自然共生に関する教育・研究・地域貢献・国際連携を行っています。研究については,森・里・海,そしてそれらをつなぐ川をフィールドにした自然共生科学を軸にして,異分野の研究者との融合を推進することにより,地域創生型自然共生科学のハブ拠点の形成を目指しています。教育に関しては,理学部,農学部,大学院自然科学研究科,大学院統合学術研究科の講義や実習を担当するとともに,文部科学省教育関係共同利用拠点の臨海実験所と演習林を中心として,国内外の学生を広く受け入れて,佐渡島の豊かな生物相を活かした独自性の高いフィールド実習を展開しています。また,海外の学生を受け入れて国際臨海実習や国際林間実習を毎年開催するなど,国際連携を積極的に推進しています。地域・社会貢献では,コミュニティデザイン室を中心として,地域住民や自治体,民間企業,NPOなどと連携し,佐渡島自然共生ラボや佐渡共創イノベーションプロジェクトなど,環境教育や地域課題の解決に向けた多彩なプロジェクトを展開し,地域の皆さんと創り上げるシチズン・サイエンスを推進しています。

 佐渡自然共生科学センターは,産官学民の連携を基にしながら,佐渡島の森里海生態系を活用した総合的な生態系の理解と保全を目指した研究・教育を展開し,自然と人間が共生する社会の実現に貢献する「佐渡モデル」を発信していきます。皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

センター長・教授
安東 宏徳

各領域/施設の概要

森林領域 / 演習林

 演習林は大佐渡北部の面積約500haの森林と佐渡市小田の研究・宿泊施設から成る森林科学の教育・研究施設で、昭和30年(1955)に設置され現在に至ります。森林の8 割以上を占める天然林には、スギ、ヒバ等の針葉樹、ミズナラ、イタヤカエデなどの落葉樹が生育しています。スギ天然林分には推定樹齢500年以上の巨木が多数存在しますが、冬期北西季節風と雪圧の影響を受けて倒伏と伏条更新を繰り返した複雑な樹形を取っているのが特徴です。江戸時代以降ほぼ禁伐で保存された天然林は佐渡島内ではこの演習林のみであり、多数の絶滅危惧動植物も生息するため学術的に重要なものです。この森林を利用して、森林科学にかかわる各種の学生実習と多様な研究、ならびに継続的な気象観測、森林動態モニタリングなどを行っています。

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里山領域 /
朱鷺・自然再生学研究施設

 新潟大学は,野生絶滅したトキの野生復帰という世界的に注目されている事業の現場に立地する地元大学として,地域の自然再生を支援していくことを強く期待されています。里地里山の自然再生には,開発で失われた里山の自然環境の復元,里山に入り込んだ外来生物の駆除,農地の荒廃と狩猟圧の減少で顕在化した鳥獣害により劣化した生態系,および,自然と共存可能な地域社会の復元も含まれています。まず,佐渡のシンボルであるトキの再導入生物学を確立し,生物多様性の成り立ちを遺伝子,種,個体群,群集,生態系,景観の様々なレベルから解明し,生態系の復元手法を明確にし,地域社会が自然再生を受け入れ,トキと共存するための共生社会を提案する,“佐渡モデル”の確立を目指しています。次に,この"佐渡モデル"を日本国内や東アジア地域へ適用するために拡張・一般化することで,普遍的な「自然再生学」として体系化することを目指します。将来的には,稲作を主体とした農耕地からなる里山景観をもつアジア地域の大学・研究機関と連携し研究を進めることで,この中心的な「自然再生学」の教育・研究拠点となることを目指しています。

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海洋領域 / 臨海実験所

 臨海実験所は、1954年に新潟大学理学部附属臨海実験所として発足しました。日本海側で最初の、そして新制大学としても最初の臨海実験所です。臨海実験所は、設置当初より、日本海の特性を背景に佐渡沿岸域に生息する海洋生物の多様性と特性を明らかにすると共に、フィールドワークを通した実践的海洋生物学教育を行うというミッションの基に、佐渡島に残されている豊かな自然環境と生物相を活用して高度な教育・研究を行ってきました。佐渡自然共生科学センター海洋領域/臨海実験所として、他の2施設と連携して、生物多様性の基盤となる森里海生態系の構造と機能を総合的に理解する教育・研究を展開し、生物多様性や環境についての高度な知識と見識をもった人材を育成します。

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コミュニティデザイン室

 コミュニティデザイン室は、人びとが思いを語る対話の場をデザインし、地域にどのような課題やニーズがあるのかを明らかにしながら、課題解決のための取り組みをサポートすることを目的として、2020年1月1日にスタートしました。デザイン思考的アプローチを地域に浸透させていくことが、多様な課題と対峙する地域のレジリエンスを高めるという考えのもと、多様なアクターが問題意識を共有し、共に考え、解決策を見出す「対話型協働探究」の展開を重視しています。新潟大学ならびに外部の研究者や企業との連携を図りながら、自然共生という価値の追求と持続可能な地域の発展につながる実装型プロジェクトをコーディネートします。

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